3Dクラウドボイス

3Dプリンタのノズル内の流れ

FDM式の3Dプリンタでノズル内の樹脂の流れはどうなっているでしょうか。円管を流れる樹脂は放物線状の流速分布になるといわれています。ノズル中心が最も速度が速く、ノズル壁面では流速がほぼゼロになります。意外ですが、壁面付近の樹脂はいくらフィラメントを押し込んでもほとんど動きません。

 

Complex flow and temperature history during melt extrusion in material extrusion additive manufacturing

 

この図を基に考えると、3Dプリンタで吐出される樹脂は溶融状態ではノズルやバレル内壁に直接はあまり接触しないということになります。樹脂は流れてはいますが、全体が均等に動いているわけではなく、実際はかなり先に接触した樹脂の薄皮の上を滑って樹脂が流れていくような形です。

 

速度に分布があると何が起きる?

壁面の流速ゼロの樹脂はほとんど動きません。ずっと同じ場所にとどまっているので熱分解して次第に劣化します。熱分解すると樹脂は油のような感じにドロドロになり、色は茶色く変色します。行き場がないので内圧が高い場合はネジなどの継ぎ目から漏れだしてきます。ホットエンドまわりに黒っぽい液状のものが付着していることがありますが、これが劣化した樹脂です。長時間使用すると、最終的に劣化樹脂はノズル内で炭化、固着して詰まりを起こすという悪さをします。劣化樹脂のもれ、樹脂の滞留はホットエンド周りを空間ができないようにセットしたり、きっちり締めこんだりすることで軽減はしますが、完全にゼロにすることはできません。そのためノズルのマメな清掃や交換はわりと大事です。

 

樹脂の速度分布は温度にも影響します。ノズル温度を高くすると流動性は上がりますが、速度分布も大きくなるので、壁面付近の滞留も大きくなります。樹脂の温度を上げすぎないほうがいいというのは造形でのダレの問題もありますが、ホットエンド周りでのトラブルを少なくすることにもつながります。

 

樹脂の流動性も同様です。フィラメントに使われている樹脂の流動が良すぎると速度分布ができやすくなり、壁面付近で滞留が起きやすくなります。速度分布はノズル内面の仕上げも影響します。仕上げが良好でツルツルであればより壁面付近まで樹脂が流れてくれますし、仕上げが悪くてガサガサであれば中心付近しか樹脂は流れてくれないことになります。内面の仕上げは造形外観の向上にもつながるほか、メンテナンスの面でもいい効果があります。

 

投稿者 Nature3D
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