3Dクラウドボイス

3Dプリンタのプラットフォーム定着のお話

3Dプリンタではプラットフォームの上にくる第1層目(ファーストレイヤー)が大変重要です。ファーストレイヤーで定着不良が起きると、その上に乗る第2層目以降の積層にも悪い影響が出てしまいます。ファーストレイヤーは造形品を支えている土台のようなものです。定着不良の上に造形してしまうと、土台が崩れるのと同じで造形品全体が脱落してしまい、何十時間もかかった造形が台無しになってしまうこともあります。プラットフォームの定着は大きく分けるとプラットフォームと樹脂の密着、樹脂が固化するときに発生する反り、2つの要因があると考えられます。

 

 

主に密着はファーストレイヤー、反りは第2層目以降の造形が影響します。定着を良くするには密着と反り、両方が良好である必要があります。よく密着していても反りが大きければ定着は悪くなります。反対に反りが小さくて密着が悪い場合も同じく定着は悪くなります。ここでは密着だけを扱います。反りについてはこちらをご覧ください。3Dプリンタで反りはなぜ起こる?(FDM)

 

プラットフォームと樹脂の密着を上げるための対策

①テープ貼り付け
方法 マスキングテープ、ポリイミドテープなどを貼りつける
原理

・アンカー効果(樹脂が表面の凹凸に潜り込んで接着力が上がる)
・樹脂との相性改善(テープのコーティング)

メリット 安価
デメリット 造形品取り外し時にテープも一緒にやぶれてしまうことがある

 

②塗布、コーティング
方法 スティックのり、スプレー(ケープなど)、ABSスラリー(ABS造形品をアセトンで溶いたもの)などを塗布
原理

・アンカー効果(樹脂が表面の凹凸に潜り込んで接着力が上がる)
・樹脂との相性改善(プライマーとしての効果)

メリット 安価
デメリット プラットフォームやプリンタ周辺が汚れやすい

 

③脱脂(ガラス、金属の場合)
方法 エタノール、アセトン、純水などでプラットフォームを拭き取る
原理

密着を阻害する残留有機物除去

メリット 安価
デメリット 完全に拭き取り除去できたか確認が難しい

 

④プラットフォーム交換
方法 穴あきシート、カーボンファイバークロス、プラスト加工金属板などを使用する
原理

アンカー効果(樹脂が表面の凹凸に潜り込んで接着力が上がる)

メリット メンテ不要
デメリット ・高価

・繰り返し使用回数に制限がある(欠け、ほつれなど)

 

⑤プラットフォームシートの使用
方法 専用のプラットフォームシートを使う(ビルドタックなど)
原理

(アンカー効果、コーティングによる樹脂との密着向上と推定)

メリット 取り扱いが容易(3Dプリンタからの脱着、造形品取り外し)
デメリット ・高価

・繰り返し使用回数に制限がある(コーティングの剥離、シートゆがみなど)

 

⑥造形条件での調整
方法 ノズル温度、速度、プラットフォームとのクリアランスなどをスライサーで調整
原理

接触面積向上(顕微鏡レベルでの接触面積)

メリット 物品購入など準備が不要
デメリット 樹脂や造形形状によって都度調整が必要

 

プラットフォームの定着はよく上げることに注目がいきますが、実は定着は強すぎても弱すぎてもよくありません。定着が強すぎると造形品がプラットフォームのからはがれなくなり、無理にはがそうとすると造形品底面が破損したり、3Dプリンタを破損する不具合が起きることがあります。そのため①~⑤の方法でまず十分な定着を確保し、定着が強すぎる場合は⑥で微調整することが望ましいのではと思われます。

 

また、上にあげた方法はプラットフォームのゆがみが十分小さいことが前提になります。ゆがみがあるとプラットフォームと樹脂の接触にムラができます。ムラは応力をため込む原因になり、その時はうまくいっても、上の層を積層したときに影響が出てくる可能性があります。特に大型プリンタや剛性の低いプリンタの場合プラットフォームゆがみの影響が表れやすいです。プラットフォームの平面が出ているか、定期的にダイヤルゲージなどで確認するとよいでしょう。

 

投稿者 Nature3D
プロフィール 自分で3Dプリンターのオリジナルフィラメントを作っている人 | 耐熱高強度PLA、高濃度木粉入りPP、導電性フィラメントなど http://nature3d.thebase.in | レビューでフィラメント無料 http://bit.ly/32JAA1l | フィラメントの話と樹脂全般の話 | プラスチック関係環境問題も
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