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3Dプリンタのエクストルーダーにはこんな違いがあった!

改めて3Dプリンタのエクストルーダーについて調べていました。方式で吐出に差があるとは言われますが、具体的にどう違いが出てくるのかはよく知りませんでした。もう少し踏み込んだデータがあるといいなと思い調べていたら、わりと納得感のあるデータがついた文献がありましたのでご紹介します。定性的なところは3Dプリンタ ダイレクト式とボーデン式の違いは?でご説明していますので興味があればご覧ください。

 

エクストルーダーには実は3つのタイプがあった

よくFDM式の3Dプリンタにおけるエクストルーダーにはダイレクト式とボーデン式があると紹介されています。この文献ではさらに拡張して3つに分類しています。

 

Hardware factors influencing interlayer bonding strength of parts obtained by Fused Filament Fabrication

 

この文献はエクストルーダーだけを比較しているわけではなく、他にもXY直行式とデルタ式、エンクロージャーの密閉ありなし、フィラメントの1.75と2.85の差などについても検証しています。ここではエクストルーダーの結果しか記載しませんが、興味があれば見てみてください。

 

a ダイレクト式、 b ボーデン式、 c フライング式
cのフライングエクストルーダーはReprapフォーラムで公開された方式です。 文献では市販の3Dプリンタをこの3つに分類して検証しています。

 

エクストルーダーで具体的にどう差が出るのか?

 

4種類の3Dプリンタで、条件を変えて造形しています。サンプルは上のような形状。このサンプルの重さと強度について測定しています。3Dプリンタは略称になっています。UM2がUltimaker 2、3DQが3DQ mini、Prusa はOriginal Prusa i3 MK3S、WASPはDelta WASP 2040です。

 

 

これがフローレートを変えて同じデータを造形した時の造形品重量です。左がボーデン式(UM2,3DQ)。右がダイレクト式(PRUSA)とフライングエクストルーダー(WASP)。左はフローレート増で吐出量が落ちているのに対し、右は吐出量は一定になっています。ボーデン機は抵抗の影響を受けやすいため、流量が増えると吐出量が下がるとのこと。一方でダイレクト式は能力の上限に達していなければ吐出量は影響を受けないと書かれています。もし上限を超えた場合は吐出が寸断されます(フィラメントを押し切れずにモーターが脱調するか、ドライブギアが削れて空転する)。

 

ボーデン式は抵抗に対して吐出が減少する直線的な変化、ダイレクト式は吐出一定で能力を超えたときはいきなり吐出ゼロになる100%か0%かの変化、ということになります。

 

 

Ultimaker2を改造してフライングエクストルーダーにしたときのデータもありました。3Dプリンタの上に枠をかぶせて、その上にエクストルーダーを吊って配置しています。ロッドの先にゴムがついている形で吊り下げてあるようです。

 

 

Ultimaker2をフライングエクストルーダーにしたときのデータ。一目瞭然。フローレート増に対して吐出が落ちる傾向はなくなり、吐出が常に一定量になるように改善しました。

 

最後に

文献ではボーデン式はフローレート増で吐出量減→造形品強度減としていますが、傾向がわかっていればその分を補正すればいいので、十分使いこなしはできそうです。フライングエクストルーダーにすればボーデン式とダイレクト式のいいとこどりにできそうですが、プリンタが大型になってしまうような気がします。結局のところ万能なものはなく、それぞれ一長一短あるので、どんな特徴があるかを分かった上で使い分けることが必要なのではと思います。

 

--- 2020/11/2 追記 ---
国内でDeltaSpirits様がフライングエクストルーダーのデルタ機を開発されています。許可を得て写真掲載

 

 

投稿者 Nature3D
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