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3Dプリントモールドの鋳造 やったことまとめ

160℃耐熱PLAでできることは何か、用途調査の一環で鋳造の検討を始めてから2年ほど経ちました。本当にできるのかわからないところからはじめて、おっ?案外行いけるな。となり、結構いろんなところを開拓してきました。まだわからないことがいっぱいありますが、区切りもあるので、やったこと、わかったことを頭の整理も含めて軽くまとめたいと思います。

 

わりと鋳造はできる

 

いろいろ試していく中で、PLAモールドでもそれなりの鋳造はできるということがわかりました。材料を選べばモールドは再利用でき、わりと複雑な形状でも湯は回ってくれます。それほどの量産性はありませんが、いくつもモールドを作っておいて鋳造だけやってしまえば、わりと数を作ることもできそうな感じです。モールドだと形状が反転するので、FDMのプリンタで作りにくいオーバーハング形状などは鋳造だと逆に作りやすくなるという利点もあります。

 

使える金属は?

PLAの融点170℃の制約があるので、どんな金属でも鋳込めるわけではありません。基本はPLAの融点まで。モールドに耐熱コートを施すことで、少し融点を超えたところの金属でも扱うことができます。
これまで試した金属(合金)は以下の通りです。他にも探せばあるのですが、クラフト用途に有害性のあるものは避けたかったので、有害金属を含まないものだけを選びました。

 

スズ : 融点232℃
スズ・亜鉛共晶合金(Sn91-Zn9) : 融点199℃
クラフトアロイ(スズ・ビスマス合金:組成非開示) : 融点150℃
スズ・ビスマス共晶合金(Sn42-Bi58) : 融点138℃

 

 

やはり、PLAの融点を超える合金は難易度が上がります。スズとスズ亜鉛合金は断熱コートをしっかりしておかないとモールドの再利用ができません。コーティングを厚めにするかモールドの冷却を行う必要があります。このあたりはうまくできたりできなかったりで、まだいい答えが見つかっていません。今後の課題です。

 

 

一方で、クラフトアロイ、スズ・ビスマス共晶合金はかなり再現性良く鋳造ができるようになりました。型の中でショートすることもなく、高確率で良品がとれます。収縮が小さいので少し型から外しにくいかな、というのが唯一の欠点。これらの材料は合金として買うと高いのですが、スズとビスマスを純金属で買って、コンロで溶かして合金を作ることにも成功しました。コストの問題も解決できそうです。組成も任意で変更した合金が作れます。この辺にもさらにおもしろいことが隠れていそうな気がします。

 

モールドについて

モールドの形状は、基本は取りたいものの形状をくりぬいた3Dデータを作って湯口をつけるだけ。ガスの逃がしはつけていません。ガスの逃げがないのにうまくいくのはなぜかとたまに聞かれることがありました。たぶんガスは型の合わせ面から抜けているのではと考えています。金属と違って樹脂のモールドは合わせ面に適度な空間があって、うまい具合に湯だけせき止めてガスだけを逃がしてくれる形になっているようです。造形したままで鋳込むと抜けにくかったり、合わせ面から湯が漏れたりするので、かるく研磨してから使っています。簡単な形状なら400番くらいのペーパーでも大丈夫。必要に応じて細かい1000番くらいのペーパーで仕上げたり、シリコンオイルを塗っておくと離型がスムーズになります。抜き勾配は5度あれば取れてくれます。アンダーカットだと抜けないので注意が必要です。

 

他にやったこと、今後

型にUVレジンを塗布して鋳造品に光沢を出す、というのもやりました。これもわりとおもしろい感じ。下のツイートは固めのUVレジンでやりましたが、軟質のものだとさらに離型もしやすくなるかもしれません。UVレジンは断熱コートにもなる可能性があります。このあたりも試してみたいと思っています。

 

PLAの融点を超える合金の使いこなし、多数個取りがまだ完全にできていないところで、今後はこの辺りもやっていければと思っています。フィラメント作りも平行してですのでなかなか時間がとれませんが、ひまを見つけて少しずつ進めていければと思っています。

 

投稿者 Nature3D
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